【センケンコミュニティー】《記者のおうち時間②》工夫で過ごす「新しい生活様式」
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言は解除されましたが、テレワークやローテーション勤務、オンライン会議などは〝新しい生活様式〟として今後も取り入れられることが多くなりそうです。家で過ごす時間が増えることは間違いない、というわけで、今月も記者のおうち時間を紹介します。
(繊研新聞本紙20年6月5日付)
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■手に汗握るウェブ陶器市
娘の保育園休園とリモート勤務に突入してはや2カ月。緊急事態宣言が明けて、リモートは継続ながら、チビは久々にお試し登園してみようかという今日この頃だ。この間、仕事のはかどらなさは悩ましかったが、なんとか乗り切った。産後はもともと行動に制限が多く、耐性がついていたのかもしれない。
逆にコロナ禍でデジタル活用が進み、楽しめたものもあった。その一つが陶器市。大型連休中は、例年各地で陶器市が開かれる。感染拡大予防のため、今年はどこもリアルでは開催中止となったが、有田、波佐見、益子などで急きょウェブ陶器市を開くとSNSで知った。近年は子連れで遠征するハードルの高さから、遠ざかっていたので楽しみにしていた。
各地のサイトのうち、特にじっくりのぞいたのが、益子の陶器市だ。4月29日から5月20日までと、長期にわたりポータルサイトを開設。作家や窯元ごと、器の形状別などカテゴライズされた見やすい作りがありがたかった。通常、陶器市は好みの器や出店者を探し出すまでにへとへとになりがちだが、ウェブならではの一覧性で、お気に入りが見つかりやすい。
ただし、人気が集まりすぎたようで、「お!」と気になり、迷っているうちに即完売となる。争奪戦はリアル陶器市をしのぐ勢いだ。期間中3度の窯出しタイムがあり、意識してアクセスしたものの、勝負弱さと優柔不断により、結局戦利品は手にしそびれた。とはいえ、わくわくしたひと時だった。
時折そんな刺激がある一方、日々の暮らしでは、子供との散歩タイムと読書くらいが気晴らしだ。散歩時には、私の母手製の揃いのマスクでお出かけ。3月半ばに送られてきた際には「総イチゴ柄か…、通勤には難しいな」と仕舞いかけていたが、リモート期間には大活躍。小池百合子東京都知事の影響で手作りマスクががぜん市民権を得たこともあり、その後母は増産し、あちこちで配り、喜ばれている模様である。(40代女性記者)
■室内と近所撮影の腕上げる
かねてより写真が趣味だ。外出自粛の要請が出た中、当然写真を撮りに行くにも行けない状況が続いた。写真に限らず、ほかの趣味もできない状況にあるという人も多いだろう。というわけで、趣味すら思うようにできない中でどう趣味を楽しんだか、私なりの工夫と新たな発見を紹介したい。
一人旅と写真がセットで、旅を楽しみながら写真や映像を撮って記録するというスタイルだったため、思いっきり外出自粛の影響を受けた。独り暮らしでしゃべり相手もいない、趣味もできないでは、さすがにこの自粛期間、コロナウイルスよりもストレスで体調を崩しかねない。
そこで始めたのが室内での物撮りだ。アマゾンを使って照明機材やフラッシュなど一式を購入。室内にあるもので、ライティングなどにこだわり、日常の中の炊飯器や歯ブラシなどをどれだけカッコよく撮れるかに挑戦したり、日常をどれだけ見栄え良く撮れるか試してみたりした。基本、外での撮影が多かった私にとってはライティングなどほとんど知らなかったが、これを機に新たな知識と技術を身に着けることができた。
さらに、買い物に行くついでに近所のなんてことない風景を撮影。普段なら、ただ通り過ぎているだけで実は意外ときれいな場所が近所には多いことを知った。一番の大きな発見は、自宅から東京タワー、新宿のビル群、スカイツリーがすべて見渡すことができる展望スポットがあったことだ。こんな機会がなければ知ることはなかっただろう。
こうしてみると小さな変化だし、ちっぽけな発見かもしれないが、ぜひ皆さんにもこの機会に身の回りの身近なものに目を向けてほしいと思う。この世界的な社会の変化をどうとらえるかも、どう生きるかも自分次第だ。身近なところにヒントはあるかもしれないし、小さな発見や小さな変化が後々大きなことにつながっていくかもしれない。こんな時こそ挑戦しよう。(20代男性記者)
■自分デザインのグッズをウェブで制作
インドア派なので家にいるのは好きだ。子供の頃から絵を描くのが趣味だが、「イラストレーター」(イラレ)ソフトの月額制プランを使うようになり、ここ数年は創作の幅がぐっと広がった。オンデマンドでオリジナルグッズを1点からネット注文できるサービスを利用し、これまでにスマートフォンケース、シール、ステッカー、キーホルダー、ポストカード、マスキングテープ、アクリルフィギュア、ミニタオル、トートバッグ、スウェットトップなどを作った。
ただ、イラレを全く使いこなせていないので創作過程はかなりアナログだ。紙に鉛筆で動物のイラストを描きスマートフォンで撮影。それをイラレ上でデータ化してちまちまと修正・加工し色を塗っている。物作りサービスはアイテムによって使い分けているが、「ピクシブファクトリー」はシンプルで簡単なのが良い。イラストの背景が透過になっているデータをアップロードするだけで、シルエットに沿って自動でカット位置を決めてくれるのでテンプレートや専門知識は不要。その場で完成イメージも確認できる。ここまで原稿を書いておきながら、実はここ数カ月は何も作っていないと気が付いた。しかしもうたいがいのグッズは作ってしまったしなあ。夏に向けてTシャツが良いだろうか。
いくらインドア派と言っても、毎日同じ環境だとストレスがたまる。我が家のマンションは部屋の面積に対して無駄にベランダが広い。「なぜ部屋の方をもう少し…」と若干不満だったのだが、最近活用法を思いついた。5月のある天気の良い日、テーブルをベランダに出して花を飾り、昼ごはんにパスタを作って食べた。ありふれた食事でも、ただ外の風を感じるだけですがすがしい気持ちがした。風で花瓶が倒れてしまい、結局はドタバタのランチタイムになってしまったのだが。(30代女性記者)
■好きな雑誌を読みふける
外出自粛の生活で体重とともに増加したのが雑誌の数だ。これまでも毎月1~2冊程度、主にファッション誌を購入していたのだが、気軽に立ち読みができない時世とあって、購入頻度が上がった。4、5月は10冊近く購入したように思う。おうち時間の多くは、これらを読む時間に充てている。
現行の雑誌に限らず、ネット販売を活用し、販売している当時に気にはなっていたものの、買い逃していた雑誌も購入するようになった。
よく購入する雑誌は、私が現職に就くきっかけを与えてくれたマガジンハウスの『ポパイ』だ。12年のリニューアル時に大学生だった私は、シティーボーイの色を強めた同誌に魅了され、以降定期的に購入するようになった。毎月購入しないところが、業界の諸先輩からすると〝近頃の若者〟らしいのだろうか。
同誌のなかでも好きな特集が二つある。春の東京特集と、冬のガールフレンド特集だ。前者は東京の街案内、後者はデートで行くと良い場所や店、おすすめのギフトなどが掲載されている。同誌のバックナンバー掲載サイトを見る限り、いずれも13年から毎年組まれている特集のようだ。過去数年分のこれらの特集を読み返し、「コロナが落ち着いたらあの店に行ってみよう」などと思いをはせながら、時間を過ごしている。
雑誌とは異なるが、同じ紙媒体でいうと、ファッションブランドや小売店などが作成するシーズンカタログやフリーペーパーも好きだ。改めて読む機会が増え、「様々なファッション企業の紙媒体をまとめて読めるブックカフェがあったら最高だな…」なんてことを考えている。(20代男性記者)