第43回繊研賞贈呈式 「ビューティフルピープル」の熊切秀典氏ら表彰

2021/07/09 06:26 更新


 第43回(20年度)繊研賞の贈呈式が7月7日、都内で開かれた。繊研賞はユーモアを大切に提案する新しいスタンダード「ビューティフルピープル」(デザイナー・熊切秀典氏)、強いクリエイションを支える持続可能な物作りを築く「マメ・クロゴウチ」(デザイナー・黒河内真衣子氏)、アパレルから広がる販売スタッフ支援アプリ「スタッフスタート」(バニッシュ・スタンダード)、明治から受け継がれる高品質な物作りのマルナカ、アウトドア市場を広げ、「アウトドア義援隊」で被災地支援にも取り組むモンベルに贈られた。特別賞には日本のファッションビジネスに貢献したオンワードホールディングス最高顧問(選考当時)の廣内武氏に贈られた。

 選考委員を代表して新井良亮選考委員長(ルミネ相談役)は「社会への貢献、サステイナブル(持続可能な)や脱炭素の視点、伝統と革新など会社や個人としてこれらにどう関わっているかという視点がこれから重要になる」と講評した。

 ビューティフルピープルの熊切秀典氏は「経験や常識を疑っていつも服を作っている。これから業界を背負っていけるようなブランドにしていきたい」。

 08年度のゾゾ以来のIT企業の受賞となったバニッシュ・スタンダードの小野里寧晃社長は「店頭にはスタッフがいるのになぜECにはレジと商品しかないんだろうという思いからスタッフスタートはできた。IT企業ではあるが、これからもアパレル業界の発展に貢献できるよう頑張りたい」と語った。

 マルナカの中里昌平社長は「私たちは裏方に徹するとの思いでこれまでやってきたので、このような栄誉ある賞の受賞に驚いている。日本中の産地との協業もあってここまでやってこれた」と語った。

 モンベルの竹山史朗常務は「アウトドア義援隊は様々な人の支援で成り立っている。本当に感謝したい」と語った。

 「マメ・クロゴウチ」の黒河内真衣子氏は所用で登壇できなかったが「様々なテクノロジーが生まれる一方で、失われ二度と再現できないような技術もある。少しでもデザイナーに興味・関心を持つ人が増えるとうれしい」とのメッセージが披露された。

 オンワードホールディングス前最高顧問の廣内武氏は「生きる活力や喜びを提供することが服の役割。これからも皆さんと一緒に業界に貢献していきたい」と語った。

 選考は新井選考委員長のほか、杉江俊彦三越伊勢丹取締役会長、竹田光広ユナイテッドアローズ前取締役相談役、安原弘展ワコールホールディングス代表取締役社長執行役員、保元道宣オンワードホールディングス代表取締役社長による選考委員会で決定された。

繊研賞受賞者(左から熊切氏、小野里氏、廣内氏、中里氏、竹山氏)


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