セイコーエプソンは、水を使わずに繊維をリサイクルできる独自の「ドライファイバーテクノロジー」で、繊維アパレル産業への応用を目指す。廃棄衣料リサイクルの社会実装へ向け、HKRITA(香港繊維アパレル研究開発センター)と共同開発契約を締結した。
ドライファイバーテクノロジーは水を使わず、物理的にほぐして繊維を取り出す技術。世界初の乾式オフィス製紙機「ペーパーラボ」に搭載して商品化しているほか、同社の神林事業所(長野県松本市)やインドネシア・エプソン・インダストリーに大型設備を設置し、古紙から緩衝材やインク吸収材などを製造している。
衣料繊維への応用も始めており、パートナーシップを締結するデザイナーブランド「ユイマナカザト」が古着をリサイクルした不織布シートをコレクションの一部に使用している。
今回のHKRITAとの提携を通じ、ドライファイバーテクノロジーを応用した、新しい繊維リサイクルのソリューション提供を目指す。特に従来のメカニカルリサイクルで主流の反毛機を使用した解繊では、強撚素材やストレッチ素材の処理が難しく、これらに対応したプロセスを検討していく。従来は再繊維化が難しかったこれらの廃棄衣料や工場の端材、売れ残りを再び繊維として活用し、循環型ソリューションの社会実装を目指す。