「サユリタネイ」はオーダー主力のレディスブランドで、パリの有名メゾンで培った技術によるジャケットが自慢だ。国産生地と仏の感性の融合を武器に、オーダー会などでの拡販を狙う。
デザイナーの種井小百合さんは、仏デザイン専門学校出身。「ジャン・ポール・ゴルチエ」や高田賢三氏の下で経験を積んだ。パリで日本の生地が高く評価されているのに感銘を受け、国産生地を使った自分のブランドの立ち上げを志した。
17年に、伊勢丹新宿本店と作家の辻仁成氏が協業した若手デザイナー支援企画で、葛利毛織工業(愛知県一宮市)の生地を使ったジャケットとパンツをオーダー販売したのが契機だった。
ジャケットはパリで学んだ立体裁断技術を生かした。肩にはアクションプリーツ、ウエストをシェイプし、裾にかけて広がる、女性の体をきれいに見せる形だ。40代を中心によく売れた。
19年に帰国し本格的にブランドを立ち上げた。翌年、銀座にオーダーサロンを開き、商品もジャケット4型、ワンピース3型に増やした。価格はジャケットで10万円台前半。ラグジュアリーブランドに比べて値ごろで、パリっぽい洗練された服が手に入ると好評だ。
播州産地などの生地のシャツを軸に、既製服も販売。主販路は自社ECで、期間限定店も見据える。
「敷居を下げてより親しみやすく。多くの人に広めたい」と種井さん。今後は全国でのオーダー会を軸にする考えで、23年10月にはサロンを閉店した。仏産ワインを飲みながらのオーダー会など、仏文化と絡めた施策を構想している。