19年は中間価格帯の商品を中心とした総合アパレルメーカーの大型リストラが相次いだ。各社とも依然厳しい経営環境のなかで事業構造改革を進める。
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■初の希望退職募集
オンワードホールディングス(HD)は12月に350人程度の希望退職者の募集を決めた。40歳以上で勤続3年以上の一般社員(販売職除く)が対象。全社員5260人に対して約7%にあたる規模となる。同社が希望退職者を募るのは初めて。オンワードHDの保元道宣社長は「市場環境が激変しているなかで、ビジネスモデルの変革を進めて、フレキシブルでスピード感のある組織にしなければならない。社員も自ら転身したり、セカンドライフを求める方もおり、これに対して会社としての支援をしていく」としている。同社は10月に「グローバル事業構造改革」の実施を決定し、大幅なビジネスモデルの転換を進めている。欧米やアジア、国内における不採算事業からの撤退や規模縮小を行う方針を打ち出し、オンワードグループ全体の約3000カ所の2割に当たる販売拠点を統廃合する計画だ。これは、百貨店を中心に実店舗における主力ブランドの販売が伸び悩んでいることが要因。今後は、20年2月期からスタートした3カ年中期経営計画に基づき、EC事業などの成長分野に経営資源を投入する。
レナウンは8月の取締役会で原則40歳以上、150人程度の希望退職者の募集を決めたが、10月になって希望退職者募集の中止を発表した。神保佳幸社長は「百貨店など得意先の大規模な店舗閉鎖や売り場縮小、同業他社の売り場撤退など、事業環境が大きく変化している。その変化が当社グループの事業に与える影響を改めて検証する必要がある。また、従業員の声を聞き当該募集の中止を決めた」と説明。今後、同社はブランドの再編や人員体制、経費の見直しも含めて「あらゆる選択肢を検討」していく構えだ。
■見直しを余儀なく
事業計画の見直しを余儀なくされたのは三陽商会。同社は18年に250人規模の早期希望退職を募るなどして、20年2月期を最終年度とする中期経営計画「サンヨー・イノベーション・プラン(SIP)2017」で黒字転換を目指していた。しかし、10月に発表した業績修正で売上高は680億円、営業損益は18億円の赤字、経常損益は17億円の赤字、純損益は15億円の赤字と4期連続で全ての段階での赤字を予測せざるを得ない状況。来期に向けては経営計画の見直しが迫られる。
日本アパレル・ファッション産業協会の北畑稔理事長は「経営環境が変化して、ビジネスモデルも変わるなかで、必要とされる能力も変化する。将来のビジネスモデルに適合した人材を強化、育成していく動きは今後、加速していく」と見ている。
(繊研新聞本紙19年12月20日付)