【24年春の採用はどうなった?】TSIホールディングス 組織一体で採用活動を強化

2023/11/16 00:00 更新


 ファッション業界に限らず、就職戦線は超売り手市場となっている。その中で、自社や業界の魅力、やりがいを伝え、採用活動に各社が奮闘している。企業の事業構築や将来に欠かせない人材確保に向けて、採用担当の方に現状や今の学生の特徴などを聞いた。

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25年春は大幅増へ 他業種に競り勝つ

 TSIホールディングス(HD)は今期(24年2月期)から、人事機能が分散していた本社系の人事部と販売支援として現場の人事・採用・教育を担当する部署を統合、人材に関して全体でしっかり取り組み、施策の実行やパーパスなどをより浸透させる組織に変更した。統合人事部として、スピード感を持って施策を打ち出し、企業の強みや魅力を学生に伝えている。TSIのコーポレート本部統合人事部人事課長の金井健悟さんに聞いた。

統合人事部人事課長の金井健悟さん

販売職は目標下回る

 -―24年卒の採用は。

 TSI全体で、総合職は約10人、販売職約100人の採用となりました。当初目標は総合職8~10人前後で、販売職は150人ほどだったので目標に届かずに苦戦しました。

 業界全体への応募数が前年の70~80%のようで、来春はこの減少傾向からさらに落ち込んでおり、環境が厳しくなりました。エントリー数は何とか80~90%にとどまりましたが、内定承諾率は以前より下がっています。今は1人で内定2、3社は当たり前で、特に販売職は受けた社数だけ内定が出ている状況のようです。

 その中で、当社に入社してもらいたい思いを学生に伝えています。また、内定式などはコロナ禍のオンラインからリアル開催に切り替え、来社してもらう機会を増やすなどで、社員や内定者同士のコミュニケーションを高めるようにしています。

その先に高い関心

 -―就活生の特徴は。

 販売職はその先のキャリアプランで、「何人ぐらい異動しているのか」や「どういう職種に異動してるのか」などの質問がここ数年増えています。販売職で頑張りたい人もいますが、先々のキャリアアップへの関心が高く、先が見えないと不安と感じているようです。

 好きなブランドがあって入社しても、配属先は基本選べない。最近は確実に好きなブランドに配属される会社を選ぶ人もいるようです。当社は50以上のブランドがあるのも強みですが、キャリアプランをきちんと説明するようにしています。

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積極的に動かす

 ――キャリアプランは。

 全職種で社内公募制度と年1回の自己申請制度があります。それ以外で最低でも半期に1回は上長との評価面談やキャリアに関する面談で、自分の思いを伝える機会があります。

 社内公募はこの3年ぐらい、本格的に人を動かす、社員がキャリアを考える機会を強めています。社内公募の件数は多く、年間で30~40人が異動しています。施策の成功事例として、学生にも伝えています。制度があっても年1回のチャンスでは少ない。やりたいことが出来ない、思いを言えないことで、会社を辞めて外部に人材が流失するのであれば、積極的に人を動かし、硬直化しがちな組織の活性化にもつながっていくと思っています。

 ――25年卒の採用計画は。

 具体的な採用目標はこれからですが、昨今の人材不足に対応し、来春よりは大幅に採用人数を増やしたいと考えています。さらに採用環境は悪化すると予想されています。他業界も大幅に採用を増やしており、同業他社だけではなく競り勝たないといけない状況です。今行っている施策だけでは足りないので、統合人事部として体制を整えていきます。

 キャリアプランや幅広い自己啓発支援制度、販売職の副業制度など、当社の魅力を学生に丁寧に伝え、コミュニケーションを密に取っていきます。インターンシップ制度もありますが、学生時代にしかできないこともあるので、まずは学生生活をしっかり謳歌(おうか)して欲しい。入社後はしっかりサポートしていきます。

(繊研新聞本紙23年11月16日付)

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