国内アパレルは値上げできるか? 粗利最大化のプライシング戦略 (A.T.カーニー シニアパートナー・福田稔)

2024/01/16 14:00 更新有料会員限定


アパレル業界では一般的にプライシング最適化による粗利改善の機会が大きい

 昨今のインフレの影響で、アパレル業界でも値上げの話題が増えている。他方、値上げを伴う価格の見直しで成果を上げる企業とそうでない企業がある。特に、外資系ブランドはラグジュアリーからマスまで価格改定に成功しているブランドが多い。一方、国内アパレル企業で値上げを成功させている企業は少ない。大きな要因は、値決めのやり方が古くプライシングに科学的・定量的な戦略アプローチを適用できていないことにある。

 日本では、業界に古くから残る慣習として、原価に一定の掛け率をかけて売価を決めるという考え方がある。このような原価ベースの考え方をもとに、ブランドのMDが経験と勘とベンチマークに基づいて、売れそうな価格を予想して値決めしているブランドが数多い。このような属人的な方法では、大胆な値上げや粗利の最大化はできない。

 一方、プライシングに科学的・定量的な戦略アプローチを導入している企業では、大きく四つのレバーを考慮しながら、戦略的に値決めを行っている。

①顧客のWTPに基づいた値決め

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