合同展「プラグイン/エディトリアル」が3月22日、東京・恵比寿のエビス303で開幕した。ウェア、服飾雑貨、ライフスタイル雑貨など80社100ブランドが出展し、特色ある商品を展示している。アパレルでは3年続いたコロナ禍からの回復ムードを受け、華やかさを取り入れた若手デザイナーブランドが目立った。(カッコ内はブース番号)
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新人デザイナーも出展
レディスブランド「ルリ・ダブリュ」(H-16)は〝カセクシス〟(物に宿る気持ち)をテーマに渡邉瑠璃さんが立ち上げた。毎シーズン、ギャラリーで開催する期間限定店や、セレクトショップへの卸売りでファンをつかんでいる。

文化服装学院とロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(LCF)卒業後、日本のブランドでデザイナーを経験し、17年に自身のブランドを立ち上げた。立体裁断など、得意とするパターン技術を生かして、シアートップやワンピースなどを企画している。中心価格は3万~12万円。
「ミューズは亡くなった祖父。彼の時代背景や服への思いを現代風にアレンジし、デザインに落とし込んでいる」と渡邉さんは話す。22年、東京都の若手デザイナー支援プログラム「ファッション・デザイナーズ・アクセラレーター・トーキョー」の1人に選ばれた。今後はブランドの知名度向上のため、自社ECの開設や期間限定店への出店を予定している。

「カナカワサキ」(H-15)は、国内アパレル企業で経験を積んだ川崎加奈さんがデザイナーを務める個人ブランドだ。〝人生は毎日がドラマ〟という考えで、日常と「ハレ」でも着られて特別な気持ちになるドレスなどを企画し、23年春夏物でデビューした。前後で肩から腰まで長さのあるスクエア状の刺繍飾りが特徴の「スイッチ」シリーズを打ち出す。刺繍飾りは26個のボタンで着脱でき、シリーズの他のアイテムと交換できる。

2シーズン目となる23年秋冬物は、アーチ型の試着室の出入り口を通る客の高揚感をテーマにした。スイッチシリーズは、箔(はく)プリントとフロッキー加工を施した刺繍飾りのブラウス、ソフトチュールに毛糸の刺繍飾りのワンピースなどがある。シンプルな長袖カットソートップは、オーガンディの付け袖を楽しめる。税込み2万円台後半~7万円台後半。
SNSを通じた個人向けと各地で開催する展示会での販売が中心だが、今後は期間限定店の出店や卸も視野に入れる。
「リーズ」(H-31)は22年10月、伊勢田優さんと高松佑衣さんが夫婦で立ち上げたユニセックスブランド。性別・年齢問わずオンオフ兼用で着られるシャツやジャケットなどを販売している。

伊勢田さんは文化服装学院と文化ファッション大学院大学卒業後、繊維商社に入社した。ペットボトルを再生したポリエステルを使用するなど、前職で得たテキスタイルの知見を生かしている。23年春夏は胸ポケットの裏地を見せるなど、遊び心あるデザインのシャツを企画した。袖口のボタンでサイズを調整できる。中心価格は3万~5万円。
「来年は楽天ファッション・ウィーク東京に挑戦したい」と伊勢田さんは話す。現在の販路は自社ECのみ。今後はセレクトショップや地方の個店への卸売りを始めたい考えだ。

体操服用ジャージーで日常着
「ウワサ」(H-04)は、創業70周年の愛媛県今治市の体操服メーカーの丸鷹産業が、新規事業として始めたユニセックスウェアブランド。糸の開発から縫製まで一貫して行う体操服製造で、丈夫で吸水速乾性があり、肌の弱い子供でも苦痛にならないジャージーの素材開発を積み重ねてきた。これらの技術を用い、スタンダードなスーツ、ルームウェア、ボクサーパンツなどを企画した。

23年秋冬物はGジャンやジーンズのデザインを縫製に取り入れたアイテムを推す。縫製は岡山県倉敷市のデニムアイテムの工場で行い、ボタンフライやファイブポケットなどのディテールにこだわった。中心価格は1万円台後半。SNSやクラウドファンディング経由で販売しており、海外からの引き合いもある。