【パリ=小笠原拓郎】26年春夏パリ・ファッションウィークは、ブランドのオリジンを背景にしたクリエイションが広がった。今の時代にふさわしい新しさをどう描くのか。それは新たにブランドを任されたデザイナーだけでなく、すべてのデザイナーに問われる課題だ。時代とどう向き合うか。それを改めて考えさせるコレクションに出会った。
(写真=大原広和)
【関連記事】26年春夏パリ・ファッションウィーク 彫刻のようなフォルムのレザー
コムデギャルソンは素朴な風合いを全面に出したパワフルなコレクションを見せた。それはまるで大地の使いのようなナチュラルな力強さを秘める。ジュートやリネンを軸にし、しかも洗ってしわしわの風合いでできた不定形のフォルムだ。

前シーズン、川久保玲は服の概念の外側にあるオブジェのようなコレクションから離れ、服の中に抽象の概念を持ち込んだ。しかしこの春夏は、再び服の概念の外側にあるオブジェのようなものに新しい価値を求めた。川久保が考えた抽象の美、新しい美しさを求めて服の外側にある「服ではないもの」に挑んだのが14年春夏。その後、さまざまな表現方法を模索しながら、コムデギャルソンの精神性に忠実なコレクションを続けてきた。戦争に対する怒りを込めるなど、「時代に対して服はどうあるべきなのか」「コムデギャルソンの表現方法はこれでよいのか」と愚直なまでにその意志を貫いてきた。
この記事は有料会員限定記事です。繊研電子版をご契約いただくと続きを読むことができます。
すべての記事が読み放題の「繊研電子版」
単体プランならご契約当月末まで無料!