「ロンシャン」は、上海・武康路に体験型の旗艦店「ラ・メゾン・ドゥ・ファミーユ」をオープンした。直訳すると「家族の家」。ロンシャンを代々経営してきたキャスグラン家にお邪魔するかのごとく、家そのものの間取りで構成された空間に商品がさりげなく溶け込んでいる。売ることに特化しないこの店では、座ってくつろぐも良し、ゲームをするも良し。第二の家のような時間と空間を提供する。
(松本寧音)
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生活が見える土地に
店は上海の中心部から西南西方面、旧フランス租界の道沿いにある。プラタナス並木に囲まれた緑豊かで空気が澄んだ通りだ。
歴史地区として観光客や地元の若者に人気がある一方で、周囲には住宅のほか、幼稚園やスーパーもちらほら。上海に住むリアルな人々の暮らしが垣間見える。そんな場所に、同社を貫く家族という存在を表現したいと考えた。
白い壁に背の高い鉄柵、木漏れ日が注ぐ2階建ての邸宅が家族の家。奇遇にもメゾンの創業と同じ1948年に建てられたものだ。歴史的価値のある外装はそのままに、家の中、そして庭で、本国・フランスの暮らしの美学を反映。各部屋のプロデュースは、家系の在職者一人ひとりに委ねられた。

まずは1階。玄関から奥に向かってリビングルーム、ダイニングルーム、キッチン、庭がある。ゲストをもてなすリビングは、創業者の孫にあたるCEO(最高経営責任者)のジャン・キャスグラン氏が担当。フランスのデザイナーやアーティストが手掛けたインテリアを配置し、アートの彩りと落ち着きを兼ね備えた空間にした。
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