南仏イエールで開かれている第40回イエール国際フェスティバル(26年1月11日まで)のメインプログラム、若手を対象としたコンペティションの受賞者たちが発表された。
モード部門のグランプリは、スイスとチリにルーツを持つリュカ・エミリオ・ブリュネさんのメンズコレクションが受賞した。ブリュネさんは、ゴダール監督作『ア・ブ・ド・スーフル(邦題/勝手にしやがれ)』(仏語で「息切れ」の意)をコレクション名にとり、祝祭用の風船を着想源に、その膨らみと収縮、飾り口の形状といった要素を衣服の線やフォルムに再構成した。

素材のコントラストを生かしつつ、風船の軽やかな緊張感をまとわせるようなスタイルが評価された。受賞者には「シャネル」より2万ユーロと、傘下のle19Mのメゾンとの協業コレクション制作の機会が与えられる。
le19Mメティエダール賞はフランス出身のアドリアン・ミシェルさんが受賞した。異素材を組み合わせた構築的なアプローチを軸に、革の編み込みや柔らかな色彩を用いた表現が特徴だ。

またアトリエ・デ・マチエール賞には、ポーランドとパレスチナをルーツに持つレイラ・アル・タヴィアさんのメンズコレクションが選ばれた。象徴的なアイテムの再解釈に取り組み、素材の扱いからシルエットまで一貫した視点が評価された。

新設されたスーピマ賞はスイスのノア・アルモントさんが獲得。デジタルと現実の境界をテーマにしたレディスコレクションを展開した。また市民賞は、軍服をテーマにしたレバノン出身ユセフ・ゾゲイブ氏のメンズコレクションに贈られた。

今年の審査委員は、ジャンシャルル・ドゥ・カステルバジャックをはじめ、ジュリアン・ドッセーナ(ラバンヌ)、ヴィクター&ロルフ、クリステル・コシェール(コシェ、ルマリエ)の各氏らが務め、素材実験と物語性の両立を図る若手の姿勢を総評した。
(パリ=松井孝予通信員、写真=ⒸArnel dela Gente)
