【パリ=小笠原拓郎、青木規子】24年春夏パリ・コレクションは、定番の服を新しいフォルムで提案する動きが目立つ。丸みを描くショルダーライン、シェイプしたウエスト、コクーンのバックスタイル。デザインはいたってシンプル。普通の服の表情を維持しながら、女性らしいエレガンスを感じさせる。
(写真=カサブランカは大原広和)
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ルイ・ヴィトンのショー会場になったのはシャンゼリゼ通りのショップに隣接する巨大スペース。入ると、オレンジに包まれた空間が広がっている。この間、ショー会場の設営に携わってきたジェームス・チンランドらが今回もデザインを手掛けており、オレンジの空間の中にインダストリアルな空気が漂う。
そこに登場するのは、これまでのニコラ・ジェスキエールにはなかったほどの柔らかく軽やかなスタイルだ。ドレープを入れたトップやふわりとした布を重ねたロングスカート。ガーリーで未来的なモチーフを好んできたジェスキエールらしからぬ柔らかなエレガンスだ。ギャザーを入れたスポーティーなブルゾンとフレアスカートはナチュラルで軽やかな雰囲気。バルーンフォルムのチェックのベストはふんわりと体を包み込む。
膨らんだチューブ状のパーツでトリミングしたジャケットやコーティングしたミニスカートなど、膨らみのあるアイテムがアクセントとなる。襟元で生地を短冊状に折りたたんだディテールなど、ドレープの強弱が服を彩る。ポップな配色のストライプやチェックにスポーティーなアイテムをミックスしたスタイルは、軽やかに見えながらもラグジュアリーな手仕事が隠されている。ストライプのトップは布帛に見えて実はレザー。ジャカードのようなジャケットはテープ状のパーツを編み込んで作ったものだ。ラグジュアリーの技術を入れながらも、あくまでもシンプルに仕上げるのが今シーズンらしい。