政府が中堅・中小企業の海外投資促進 日本貿易保険が民間の投資保険を再引き受けへ

2019/07/10 06:28 更新


 政府は9日、貿易保険法施行令の一部を改正する政令を閣議決定した。政府が全額出資する公的輸出信用機関、日本貿易保険(NEXI)が民間損害保険会社などが販売する企業向けの海外投資保険の再保険を引き受けられるようにする。「民間損保会社のカントリーリスクを軽減することで、海外投資保険への参入を促し、中堅・中小企業の海外投資拡大を支援する」(経済産業省貿易経済協力局)のが目的。政令は12日に公布・施行する。

 民間損保会社がベンチャー、スタートアップ企業を含む中堅・中小企業向けに今月から順次、海外投資先の非常リスクをカバーする保険を提供し、民間損保企業が引き受けた非常リスクの一部をNEXIが再保険の形で引き受けることができるようにする。対象となる企業規模は限定しないが、「保障額の上限設定を設けるため、結果として、中堅・中小企業が利用することになるだろう」という。

 経産省によると、過去15年間で中堅・中小企業の海外投資は1.5倍に拡大、中でもアジア新興国への投資が増えている。ただし「多くの企業が投資する国や地域の人件費高騰のほか、不安定な政治・社会情勢などカントリーリスクに不安を持っている」。NEXIでは従来から海外投資保険を提供していたが、「国内に2拠点しかないため、全国の中堅・中小企業への対応が不十分だった」。一方、民間損保会社は「カントリーリスクに関する知見や管理ノウハウが不足していた」ため、海外投資保険を販売していなかった。

 新制度により「NEXIの知見と民間の全国のネットワークを結び付け、中堅・中小企業の海外事業拡大を後押し」する。



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