ファッションショーにセレブリティーを招いて衣装を提供し、インターネットでバスらせることを主軸にするセレブマーケティングが全盛となっている。これまで新しい美しさを模索し提案する場であったファッションウィークが、このセレブマーケティングに乗っ取られようとしている。ファッションウィークが新しい美しさを競い合う場として、今後も成立しうるのか。この間の変化とともに、質問に答える。
(小笠原拓郎編集委員)
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Q.セレブVSクリエイティブ。なぜ対立構造に?
A.セレブマーケティングとクリエイティブな行為は必ずしも対立するわけではない。実際にたくさんのセレブリティーを招いた24~25年秋冬メンズのショーでも、「ヴァレンティノ」や「ロエベ」などが、クリエイティブなコレクションを見せた。ビジネスとしてのセレブリティーマーケティングとクリエイションは両立も可能だし、むしろ両立させていくことがこれからのブランドビジネスの王道であろう。
ただ、セレブリティーマーケティングが重視される一方で、クリエイションがそれに伴っていないと、ことさら陳腐に見えるのは確かだ。その背景には、デザイナーがどちらを向いてコレクションを発表しているのかということがある。
セレブリティーとその周辺にいるフォロワーに向けてのクリエイションは、分かりやすいラグジュアリーやこれ見よがしな表現になる場合がある。これまで漠然とした新しい美しさを探ってきたデザイン活動が、セレブリティーの欲するこれ見よがしなラグジュアリーへと変わった場合、それがある種の露悪趣味に陥る可能性をはらんでいる。
セレブリティーマーケティングを進めていったとしても、クリエイションの軸はそのマーケットとは切り離して考える必要がある。
▽こんな質問にも答えます!
Q.こぞってセレブマーケティングに走る理由は?
Q.ショーを訪れる人の受け止めは?
Q.クリエイションに執着し続けているブランドは?