広告制作・プロモーションの虹男(愛知県岡崎市)と縫製工場のオフリヤ(東京都国立市)がユニセックスのアパレルブランド「NOケア」(エヌオーケア)を立ち上げた。NOケアは「人にやさしい衣服作り」をコンセプトに細部まで心地良さにこだわった綿100%の血行促進ウェアだ。8月にSNSを中心とした販促を始め、ECサイトで第1弾のTシャツ(税込み9900円)を発売した。
(小堀真嗣)
心地良さにこだわる
NOケアのTシャツは3点にこだわった。1点目は着用感とサイズ感。素材はシルケット加工をした綿100%の丸編みで、滑らかな肌触りと適度な光沢が特徴だ。サイズはS、M、L、XLと〝Mショート〟がある。「ゆったりと着用したいけれど、だらしない印象にならないように」と考え、Mの身幅で丈を短くした。LとXLも身幅に対して丈は短めの設計。「ジャケットからTシャツの裾が出ないように」という配慮だ。
2点目はロゴデザイン。「上質感を出せる」として、Tシャツ背面上部に刺繍でロゴを入れた。刺繍糸が肌に当たらないよう、ロゴを刺繍した生地を上から縫い付けて二重構造にした。
3点目はブランド名の由来となる「イフミック加工」の採用だ。同加工は、イフミックウェルネス(大阪市)による温泉由来のミネラル成分を使った機能加工。「加工製品を体に近づけると血中の一酸化窒素(NO)が拡散し、血管拡張による血行促進効果が期待できる」という。加工対象は「化繊も天然繊維も問わない」上に、「噴霧加工で効果を発揮」するとしている。血行促進をうたうウェアはポリエステル製が多いなか、「天然繊維100%なら差別化できる」と考えた。
伝える工夫凝らす
虹男の井上真邦社長とオフリヤの東幹人社長は、これまで「ほかにないおもしろいこと」の意見交換を重ねてきた。「〝あったらいいな〟を形に」しようと昨夏に「ニジリヤ」プロジェクトを立ち上げ、NOケアの企画に行き着いた。
井上社長がアパレルの企画に携わったのは初めて。それだけに井上社長のこだわりのなかには、作り手が頭を抱えるような難題もあった。東社長は代替案を出して試作を重ね、井上社長が納得するまで粘り強く一つひとつ形にしていった。刺繍箇所の二重構造とMショートのアイデアは東社長によるもの。量産から1着のオーダーメイドまで請け負い、培ってきたオフリヤの対応力が生きた。井上社長がコンセプトに沿った服作りをまっすぐ追求できた理由はここにある。
販促面はビジュアル制作やコピーライティングを生業(なりわい)とする井上社長がクリエイティビティーを発揮。例えばブランド名の〝ケア〟をカタカナ表記にしたのは、見た目のユニークさや柔らかさと、ロゴを見た人に「読ませる」ことで印象の残す狙いもあった。パッケージのデザインや梱包(こんぽう)の仕方も含めてブランド・商品の見え方にもこだわった。
リアルの販路開拓も目指す。想定販路は、エステサロンやスポーツジム、健康・天然素材志向の雑貨店、宿泊施設。着用者に感想を話してもらう「『レビュー100人動画』企画を進行中」とし、販促に生かす考えだ。