ニュース2018⑤ 東京で大型複合開発続々

2018/12/30 12:00 更新


 18年も東京で大型複合施設の開業が相次いだ。20年開催の東京オリンピック・パラリンピックを見据えた開発でもある。

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いずれも好スタート

 3月29日に三井不動産が日比谷に商業、オフィスなどとの大型複合施設、東京ミッドタウン日比谷をオープン。9月13日には東急電鉄が渋谷駅南側エリアに商業とホテル、多目的ホールを軸とした渋谷ストリームとその近接地にホテル、ギャラリー、カフェ・バーなどが入る渋谷ブリッジを開業した。同月25日には高島屋が高島屋日本橋店の隣接地に専門店115店が入る日本橋高島屋SC新館をオープン。同社と三井不動産などが参画する大型複合ビル、日本橋高島屋三井ビルディングの商業ソーンだ。日本橋高島屋SCは本館の高島屋日本橋店を含めた4館体制。合計店舗面積約6万6000平方メートルの新しい都市型SCとする。

 商業ゾーンは消費者ニーズの変化と周辺の商環境に合わせ、食を中心に衣料品以外の業種を充実し、買い物以外のニーズに対応する「滞在型機能」も強化したのが特徴だ。

 東京ミッドタウン日比谷は全60店のうち、ほぼ半数は飲食・食物販店で、残り半数も高感度なファッション店も入れながら、大半を雑貨、コスメ店やライフスタイル提案型店舗とした。大型複合映画館も入る。自施設内を含めた日比谷エリアの映画館や、東京宝塚劇場など近隣の劇場への観覧客、就業者の取り込みを狙った。渋谷ストリームは29店全てが新業態を中心とした飲食、食物販店。近接地にファッション・雑貨店が数多く入る渋谷ヒカリエがあり、来年秋にJR東日本、東京地下鉄との共同開発による大型複合施設、渋谷スクランブルスクエア東棟がオープンすることも踏まえた。日本橋高島屋SC新館は周辺の就業者、居住者や近隣の湾岸地区のファミリーを中心顧客に据え、「地域で欠落しているMDとサービスを拡充する」ため、テナントの4割を飲食・食物販とした。

東京ミッドタウン日比谷は当初計画を上回るペース(3月29日の開業時の館内)

 いずれも、開業時から話題を呼び、来館者、売り上げともに好スタートを切った。MDが支持されたことに加え、それぞれのエリアの来街者が増え続けていることが大きな背景だ。開業によってエリア全体もさらに活気付いている。東京ミッドタウン日比谷に隣接する日比谷シャンテは大型改装した効果もあり、売り上げを伸ばしている。

格差広がる懸念も

 19年も大型開発が相次ぐ。渋谷では秋に渋谷スクランブルスクエア東棟のほか、建て替え中の渋谷パルコが新施設として開業、来年度中に東急不動産が参画し、新しい東急プラザ渋谷が入る大型複合施設「渋谷フクラス」ができる。日本橋には三井不動産が新商業施設「コレド室町テラス」を軸とした大型複合施設「日本橋室町三井タワー」を開業する。

 エリアの新たなにぎわい創出につながることが予想されるが、大都市への人口集中が加速、地方との格差がさらに広がる懸念もある。

(繊研新聞本紙12月27日付)



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