【サンフランシスコ=立野啓子通信員】新型肺炎の感染拡大により、生活必需品を扱う店舗を除く大手の百貨店や専門店が一斉に店舗閉鎖を発表して2週間が経過したが、閉鎖を延長せざるを得ない状況が続き、店頭や倉庫、本社で働く従業員の一時無給休職が始まっている。従来なら春物衣料販売の最盛期となるイースター(復活祭、4月12日)を前に、売り上げのめども立たず終わりの見えない店舗閉鎖が続くなか、小売業は生き残りをかけて経費の削減に取り組んでいる。
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百貨店のメーシーズは、借入金の枠を広げる信用状の拡大、管理職や取締役の一時減給、一部オーダーのキャンセル、支払い期日の延期要請などを進めている。しかしそれでも十分でなく、健康保険料は5月まで支払われるが、今週からEC業務を除く従業員の多くがファーローという一時無給休職の状況に入る。ファーローはレイオフと異なり、時期が来れば仕事場に戻れる(1年以内)状態で、失業保険(通常26週間)を申請することができる。今回、不透明な経済環境の中で頻繁に使用されている言葉でもある。同じくコールズとJCペニーでも一定期間健康保険料は支払われるが、店舗とオフィスの従業員をファーローすると発表している。
ギャップは米国とカナダで「店舗が再び開店するまで」、約8万人をファーローする。「時が来たらいつでも戻って来て欲しい」としつつも、インターネットの従業員向けのページでは、求人のある他の小売業を紹介している。店頭と倉庫のパートを含む業務中心に、ウォルマートは15万人、ターゲットが15万人、アマゾン10万人、薬局・雑貨のCVS15万人、ウォルグリーン3万5000人、ホームデポ8000人、ローズ1万2000人などの求人が並んでいる。
他にアンテーラーなどを持つ婦人服専門店のアセナグループ、Lブランズもファーローを発表している。この中でもブランド力のある「ナイキ」や「ルルレモン」などは、一時的な売り上げ減はあるが、閉鎖延長に耐える体力を十分に持つ。