米ニューバランス 靴職人の三村仁司氏と専属契約

2018/01/18 04:28 更新


 米ニューバランスはこのほど、様々な分野のトップアスリートのシューズ開発を手掛けてきた職人、三村仁司氏を専属アドバイザーに起用した。同社は今契約をテコにエリートランナー層への訴求を強め、世界1位のランニングシューズブランドを目指す。日本では、現在15%前後のランニング靴のシェア(出荷足数ベース)を、20年までに20%にし、売上高で100億~110億円規模へ引き上げる。

 三村氏が主宰するシューズ工房「ミムラボ」と、グローバルパートナーシップ契約を交わした。三村氏は、50年以上にわたりマラソンなどのシューズを作り続け、04年には厚生労働省の「現代の名工」にも選ばれた熟練職人。

 有森裕子さんや高橋尚子さん、野口みずきさんらの五輪でのメダル獲得を支えてきたことでも知られる。足形測定時に足の状態や特性を見抜き、選手一人ひとりに合わせたシューズの開発に定評がある。

 三村氏の役割は、新商品の開発段階におけるアドバイスと、契約選手のシューズ製作、取引先・直営店での研修など。特に製品開発では、同社が持つテクノロジーと三村氏のクラフトマンシップをミックスし、フィッティングやクッション性にたけたシューズ開発を目指す。共同開発製品は、早ければ「第4四半期中(10~12月)には発表できる」(トム・カーリオグローバル・ランニング部門担当副社長)という。

 今契約の第1段階では、日本のトップ層への個別ニーズに合致したシューズ開発に注力する。日本でのランニング事業はこの5年、年平均19.6%の成長と、ジャパン社全体の増収率(18.3%)を上回るが、どちらかというとファンランナーなどボリューム層に強く、エリートランナー層へのアプローチは弱かった。

 「真のランニングブランドとなるには、各トップ選手に合ったものを出す必要がある」(冨田智夫ニューバランスジャパン社長)としており、今契約をてこに、成長率を年20%強へと引き上げる計画だ。

三村氏のコメント 昨年1月以降、私へのオファーが4件あったが、ニューバランスは、全社を挙げて一緒に仕事をしていく気持ちを感じた。ニューバランスのシューズはまだレベルが低いが、真剣に向き合い、ともにナンバー1ブランドを目指したい。集大成を見せる。

右からトム・カーリオ米副社長、三村氏、冨田ニューバランスジャパン社長


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