ウクライナから戦火を逃れ日本で起業 ファッションマスクを販売開始

2024/01/16 18:00 更新


 いまだ続くロシア・ウクライナ紛争。戦火を逃れ22年4月に日本にやってきたニキータ・ショロムさんは、自ら開発した独自形状のマスク「NASK」(ナスク)を商品化して1月17日、販売を始める。ニキータさんは自ら日本で会社を設立し、パートナー企業の協力を得て生産体制を構築、フェイシャルアクセサリーとしての広がりも見込む。

(三冨裕騎)

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蛇腹の形が特徴

 ナスクは、蛇腹のような形状が特徴的なマスク。マスクの頭文字のMをNに変えることで、「一歩進んだマスク」という意味からナスクと名付けた。内側に挿入したワイヤと両サイドに配したシリコーンにより、鼻と顔の横で装着する形で、肌との接触が少ない。耳に掛けるタイプではないため、眼鏡や帽子をつけたままでも装着可能。蛇腹状に折り畳めるため持ち運びもしやすい。素材には丸井織物(石川県中能登町)のナイロン織物を使い繰り返し使用が可能だ。生地のラミネート加工は中国で、組み立ては日本。黒、グレー、緑、ピンクの4色で、ECサイトで販売する。

独自の蛇腹形状が特徴的なマスク「ナスク」

会社設立に苦労も

 プロトタイプはコロナ下に開発し、ウクライナでの生産・販売が目前だったが、22年2月のロシアによる攻撃で工場が壊滅、故郷のチェルニヒウも戦火に見舞われた。ニキータさんはアメリカ留学時代の友人のつてもあり、大阪にやってきた。

 日本で事業化に向けたパートナーを探し、生産に関して様々なところにアプローチした結果、「自分自身で作り、売り込んでいかないと」という結論に達したという。昨年には自身の会社イハヴィールを設立。資金調達よりも、日本国内でビザを取得し、会社を設立することの方が大変で、銀行口座を設けるのにも一苦労だったと振り返る。大阪で化粧品のパッケージOEM(相手先ブランドによる生産)を手掛けるベリカと知り合ったことで、事業化が進展。協力工場を含め国内外のネットワークも持つ同社の協力もあり販売にこぎつけた。

パッケージのデザインにもこだわった

 今後は、フェイシャルアクセサリーとしてファッションブランドやアーティストとの協業も検討、インフルエンサーへのギフティングなどを通じて広めていく考えだ。

ファッションアイテムとしての広がりも見込む


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