算数で極める達人MDへの道《第2講》㉔(佐藤正臣)

2021/08/12 05:00 更新


値入率と粗利率の設定をしてみよう!③

☆佐藤さんの過去ブログはこちら

では、引き続きDさんのショップを基に、値入率の戦略を考えていきましょう!


へい。よろしくお願い致しますm(__)m


今回のこの講義におけるDさんのショップの設定を改めて確認致しますと、以下のようになります。


・10店舗展開のセレクトショップ。自社商品60%。他社商品40%の売上構成
・自社と他社の値入率(仕入原価率)には、かなりの差がある
・レディースのショップでカテゴリー(品種)別の売上予算は、かなり変動する
・衣料品以外に服飾雑貨も展開(Dさんは、過去服飾雑貨のバイヤー)
・店頭鮮度を重視しているせいか、店頭がよく商品で溢れかえる
・商品によっては、年間置いてある定番商品もあります


そして事業の予算の大枠が以下のようになります。


・(年間)売上20億円
・(年間)粗利率50% 粗利益高10億円
・値入率の設定62%(仕入原価率38%)


そして、今回の講義では前回の記事で触れました...④オリジナル商品の構成を増やし、他社商品の構成を下げる。

このことを考えて、値入率の設定。そして、粗利率の設定を考えよう!ということです。


へい。了解致しました(''◇'')ゞ


では、Aさんに質問なのですが。前回、カットソーの仕入業態別売上構成と値入率は以下の通りでした。


・売上構成比 自社40%。ODM40%。他社20%
・値入率 自社70%。ODM60%。他社20%
・Aさんの組織のカットソー全体の値入率62%


上記の値入率を考えると、他社の値入率が50%と良くないですから、カットソー全体の値入率を改善しようとすると、他社を削ることが一番手っ取り早いと思うのですが、Dさんは、どのように思いますか?


確かに、他社の値入率は良くないので、他社を削れば値入率が改善するのは理解できるのですが、セレクトショップとしてのショップコンセプトを鑑みると、やはり最低限の仕入枠がほしいところなので、他社の売上構成比を低く設定するのは避けたいです。


なるほど~。では、どうしましょうか?


へい(;^_^A(せんせの催促がいつもよりすごい...)。現状、ODMの売上構成比が40%あるのですが、今後”弊社でしか買えない商品をお客様に提供したい!”ということを踏まえると、ネームは自分のところのショップネームでも、他社でも展開される商品。ODMの売上構成比を減らそう!と考えています。


なるほどですね。Dさんも自分のショップのことを真面目に考えているのですね~(^-^)では、ODMの売上構成比をどのくらいに設定しますか?


へい。ODMを減らすと言っても、長年のODM会社とのお付き合いもありますし、弊社の自社商品だけでは、まだ精度が低いところがあります。ですので、売上構成比を40%から30%に下げたいと思います。


そうですね。数字だけを良くすることを目的として、ODM商品を極端に減らしても、メリット以上のデメリットがありそうですから、賢明な判断だと思います。では、実際自社商品の売上構成比を50%にあげ、ODM商品の売上構成比を30%に下げた場合。カットソー全体の値入率は何%になりますか?

D:へい(''◇'')ゞすぐに計算します!


……………(計算中)……………


出来ました(''◇'')ゞ


計算が早い(◎_◎;)


(自社の売上構成比×自社の値入率)+(ODMの売上構成比×ODMの値入率)+(他社の売上構成比×他社の値入率)=カットソーの値入率→(50%×70%)+(30%×60%)+(50%×20%)=63%

ということで、カットソー全体の値入率は63%になりました(''◇'')ゞ というよりも...せんせ、1%しか値入率が改善されませんでした_| ̄|○


Dさん。値入率1%しか削減できなかった_| ̄|○と言ってますが、これは大きいですよ。仮に組織全体の値入率が1%改善されて、そのことで粗利率が1%改善されたとしたら、Aさんの組織の場合、年間の売上予算が20億ですから、2,000万円の粗利高が増える可能性がある!これは、ものすごく大事なことですし、Aさんがそんなに落ち込む必要はありません(^^)


せんせ。ありがとうございます( ;∀;)


また、投入アイテム数を削減すれば、値入率が改善される可能性もありますし、今回はカットソー全体の値入率の設定は63%(仕入原価率37%)ということで、今後の話を進めていきましょう!


せんせ!ありがとうございますm(__)m


今回で値入率の設定の話が終了しました。次回は、カットソーの粗利率の設定を考えていきます。


では、皆さん次回もお楽しみに(@^^)/~~~

 

佐藤正臣

95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。www.msmd.jp



この記事に関連する記事