三菱地所 通信連携したロボットを実装 経産省事業の一環、規格化を促進

2022/01/26 06:27 更新


屋内外を走行しフードデリバリーを行う

 三菱地所はビル内のエレベーターなどと通信連携した自動走行ロボットの実装を開始した。経済産業省の予算事業「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」(革新的ロボット基盤構築事業)の一環で、同事業の取り組みを実装したのは初めて。経産省は今後、「ロボットが導入しやすい環境を整備するための技術などの規格化と国際標準化を促進する」(福澤秀典製造産業局産業機械課ロボット政策室課長補佐)。三菱地所は既に商業施設を含めて約100台のロボットを活用しており、今回の取り組みを機に「ロボットフレンドリーな環境を作り、スマートシティー化を促進する」(太田清DX推進部長)。

 実装したのは清掃サービスロボットとフードデリバリーサービスを行うロボット。いずれも、ビル内のエレベーターやフラッパーゲート、セキュリティードア、入退館管理システムと通信連携し、人が介在しなくても目的地まで走行できる。

 清掃ロボットの取り組みは三菱地所の大手町フィナンシャルシティ3階グランキューブと大手町パークビルディング3~5階で作業を行う。フードデリバリーロボットはグランキューブで2月28日まで運営を実施し、「抽出された課題をもとに精度を向上させる」(三菱地所)。スカイファームによるデリバリーサービスと連携し、ビルの屋内外の飲食店が、オンラインで注文があった弁当をオフィスワーカーに届ける。

 労働力不足が深刻化し、コロナ禍で非接触型サービスへのニーズが高まる中で、サービスロボットの開発と導入が進んでいる。ただし、「多くが個別ユーザーの要望に応じた開発のため、オーバースペックで価格も高く、社会実装が進まないのが課題」(経産省の福澤課長補佐)という。

 革新的ロボット基盤構築事業は「ユーザーがロボットを導入しやすい環境を作り、ロボットの仕様を収斂(しゅうれん)させることで、価格を下げ、社会実装を加速させる」目的で、20年度から24年度までの予算事業として実施。機能の標準化を進めるため、ユーザーとメーカーなどが参加するタスクフォース(TC)を「施設管理」「食品」「小売り」「物流倉庫」で作り、三菱地所はJR東日本、パルコなどとともに施設管理TCに参画している。

 経産省はロボットとエレベーターの通信連携に必要な規格を昨年6月に策定、「今年中に必要な改正を行い、その後に国際標準化を狙う」(福澤課長補佐)。今年中に扉との通信連携の規格化を目指し、24年度までに他のTCを含めた取り組みを具体化する方針だ。



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