政府は2月16日、産業競争力強化法の一部改正案を閣議決定した。所管は経済産業省で、「長年のデフレから脱却するため、民間企業の投資とイノベーション、新陳代謝を促進する」(齋藤健経産相)のが目的。繊維・ファッションを含め、「中堅企業」の成長支援などを強化する。今国会での成立とその3カ月後の施行を目指す。
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中堅企業を法で初めて定義し、常用従業員数2000人以下などとする。その中で、賃金水準、売上高に占める国内投資額の比率が業界平均以上などの企業を「特定中堅企業者」とし、成長を伴う事業再編計画を主務大臣に認定された事業者が複数回のM&A(企業の合併・買収)を行う際の税制優遇や日本政策金融公庫(日本公庫)による大規模・長期の金融支援(ツーステップローン)などを措置する。経産省によると、中堅企業は現在約9000社で、そのうち、特定中堅企業者は約1割。中堅企業全体のうち、「半分強」が大企業のグループ会社で、「今回の政策は主に大企業のグループ会社以外を対象にする」(茂木高志経済産業政策局産業創造課長)。
スタートアップの成長支援のため、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)による繊維を含めた「ディープテック・スタートアップ」の事業開発活動への補助業務や、投資事業有限責任組合による対象事業者の暗号資産への投資も可能にする。さらに、グリーンケミカルなどの「戦略分野」で国内生産・販売を強化し、主務大臣に認定された企業に対する税制優遇措置を導入。大企業を含め、日本公庫によるツーステップローンも可能にする。また、国内での研究開発を通じた特許権やAI(人工知能)関連ソフトウェアの著作権で得たライセンス所得や譲渡所得を税額控除する「イノベーション拠点税制」を導入。その措置のため、政府が事業活動での知的財産の活用を調査できる規定を新設する。