中国の上場素材メーカーの16年12月期の決算をみると、化合繊企業の20社のうち15社が増収となった。綿紡績や毛紡績も増収となった企業が多かった。これは原油や綿花といった原料価格の上昇、需要の拡大、企業の淘汰(とうた)による稼働率の上昇などが理由として挙げられる。ポリエステル系4社は、特に顕著で純利益が前期比で3倍、4倍になった企業もあった。
驚くのは営業利益率の高さだ。日本のメーカーに比べれば品番が少なく大規模な設備を持つ企業が多いと言えば、それまでだが、紡織企業でも10%を超える企業がある。中国企業を取材していると利益へのこだわりが日本企業よりも、はるかに強いと感じる瞬間がよくある。そうしたことの表れかもしれない。
昨年から始まった第13次5カ年計画では、繊維産業全体でも高付加価値化を目指すとしている。決算書でも今後の展望については消費者ニーズを踏まえた物作りへの転換を掲げている企業が多い。中間層の増大により、中国でも消費の多様化への対応が求めれている。
こうした新たな時代へ巨大なメーカーも舵(かじ)を切ろうとしている。果たして、それがうまくできるのか。あるいは、日本のように得意技術をもった中堅・中小企業が新たなチャンスを見いだして飛躍するのか。構造改革は新たな段階に入る。しばらく目が離せない。