新緑がまぶしい季節となった。大型連休の始まりに雪が降った北海道は、ようやく桜の季節を迎えるが、本州ではそろそろ夏日も珍しくなくなる。昨今の気候変動で、四季のある日本でも長い夏と短い冬が定着しつつある。
この時期にわが家のワードローブで、特に使い勝手の良いアイテムがある。それは重ね着に便利なニットやジャージーのトップ。意外にも今までありそうでなかった。例えば、カシミヤのゆるいリリアンのような編み地の半袖のシャツやセーターがそれだ。カシミヤなのにゆるい編み地で通気性が良く、しかも半袖なので春の初めから梅雨の時期まで使える。
「気候変動に対応して、1年のうち10カ月で着用できるような〝10マンスアイテム〟を探している」とは、あるブランドの経営者の声。夏の最盛期と真冬以外の10カ月使えるアイテムを見つけられれば、ヒット商品になる。わが家の定番ともいえるアクリル・ウールの丸首カーディガンは、ドライタッチでそれに近い活躍ができるアイテムだ。今年、新たに購入した半袖のスウェットトップも、身頃の脇に付いたファスナーを開閉でき、暑い時期にはビブスのように風を送り込める。
環境の変化を背景に、春の装いも大きく変わろうとしている。今、それに対応した柔軟な発想のファッションデザインが求められている。