4月中旬、家電量販店にiPhoneのケースを買いに行ったら、アップル社の純正品だけが売り切れていた。探していたのは24年秋に出たモデル用。出たばかりでまだ在庫は豊富なはずだが、聞くと「米国からの団体客がこぞって買っていった」とのことだった。
トランプ政権は中国からの輸入製品に当初、145％課税するとしていたが、その後スマートフォンへの相互関税は対象から除外した。だがアクセサリー類はその限りではない。安く買えるなら旅行ついでに買っておこうとアメリカ人が大挙してその店に訪れ、在庫が尽きたらしい。
ファッションEC「シーイン」は4月25日から米国向け商品を値上げすると発表した。800ドル以下の小口貨物の輸入関税が免除されることが格安で販売できる理由の一つだったが、5月2日から中国と香港からの輸入は適用除外になるので価格転嫁せざるを得なくなった。高級品ではエルメスが米国での価格を引き上げる意向だ。
相互関税の上乗せ分を停止する90日間の期限が7月9日に迫る。回避や軽減の手立てを見いだせなければ、安いファッションブランドも高額なラグジュアリーブランドも値上がりして米国市場では今より売れにくくなる。どうしても欲しければ免税になる日本で買えばいいと考える米国の旅行客がもっと増えるかもしれない。
