《めてみみ》OEM事業でやるべきこと

2025/01/16 06:24 更新NEW!


 三共生興は、完全子会社でアパレルOEM(相手先ブランドによる生産)を手掛ける三共生興アパレルファッションを4月、吸収合併する。08年に分社化し、比較的堅調なOEM事業を再び本社に内包する背景には環境の変化がある。

 国内衣料品市場は伸び悩み、アパレル・小売りは商社を介さず直接海外工場と取引する〝直貿(直接貿易)〟を進め、受注競争は激しさを増す。三共生興の井ノ上明社長は「御用聞きでは価格競争に巻き込まれるだけ。主導権を持ち、付加価値を付けることが欠かせない」と、中期経営計画でOEMビジネスモデルの変革を掲げ取り組んできた。

 素材による差別化とアパレル以外の商材開発をテーマに昨年、養蚕スタートアップのユナイテッドシルクに出資。「デザイン力を高める」とアパレルのトゥエルブを傘下に加えた。

 ただOEM事業は国内向けが大半。「日本だけでは限界がある。ブランド事業に加え、OEMも世界に広げる」と井ノ上社長。深く連携するには「会社の壁を取っ払うのが一番」と判断した。

 他の繊維商社の幹部も「顧客の要望に応えるだけでは足りない。こんなのどうですか、こんなこともできますよ、と要望を上回る提案型でないと必要とされない」と危機感を持つ。企画提案型、独自素材による差別化、海外販路開拓などやるべきことはまだたくさんある。



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