《めてみみ》百貨店のショールーミングスペース

2024/09/10 06:24 更新


 大手百貨店がコロナ禍の21年にスタートしたDtoC(消費者直販)ブランドのショールーミングスペースが拡大している。小売業の将来を展望したRaaS(サービスとしての小売業)の実験場だ。

 大丸松坂屋百貨店が大丸東京店で運営する「明日見世」は9月18日に移設・リニューアルする。面積を約4倍に広げ、スペース内にカフェを配してくつろぎの空間を設ける。出品企業からの事前研修で商品知識を深めた百貨店社員が客とコミュニケーションし、人を介して作り手の思いや商品背景を伝える。

 そごう・西武の「チューズベース・シブヤ」には値札やPOP(店頭広告)がなく、商品サンプルとQRコードがあるだけ。興味を持った商品はスマートフォンでQRコードを読み込んでウェブカタログを閲覧できる。販売員が常駐せず、顧客が自由に商品を試し、スマホで購入する。「渋谷の好立地にあることから、順調に拡大している」(そごう・西武の田口広人社長)という。

 両社ともに新規の取引先からの出品希望が多い。「百貨店の経営資源を組み合わせることで、リアル店舗ならではの価値を作り上げていく」考えだ。従来の百貨店ではリーチできなかったZ世代の顧客獲得や、人・物の負担を抑えつつ提供する質の高いサービスなど。未来型百貨店の実現に向けた取り組みが着実に進んでいる。



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