中国もアパレル不況かと日本から問われる。今年は不動産や株式市況の低調に加え、ファンドの投資控えも絡む。SCなどのアパレル店舗が集まる階に行くと客はまばら。人々が出費を抑えている感があり、全体として不況と言ってよいだろう。
とはいえ、スポーツなど好調な企業や分野もあるので、全体が悪いとは言いがたい。勝ち負けがはっきりしてきたと考えるのが正しいか。
ここ最近の中国アパレル消費はかなりの高価格を選ぶ傾向が顕著だ。特に上海では新機能やバージョンアップした旬の高額品を率先して求める動きがある。今後地方都市でも経済発展が進めば、目の肥えた購買層が増える。消費市場としての中国はまだ明るい。
一方、繊維・アパレル産業に目を移すと展望が曇る。日本と取引するOEM(相手先ブランドによる生産)や貿易会社は円安の影響で収益が厳しくなり、取引件数の拡大が必須。しかし人材不足が足を引っ張る。中国も若い世代でアパレル産業離れが進む。縫製工員だけでなくパタンナーや品質管理なども不足気味、業務を回す裏方がいなくなっている。最低賃金が上がる中で、ゆくゆくは海外生産シフトが進むと言われている。
繊維・アパレル産業の発展を支えるのはやはり人であり、将来に関わる重要課題だ。有能な若い人が集まる魅力の創出が日中両国で問われている。