中国の24年上期の経済指標が発表され、GDP(国内総生産)は前年同期比5%増だった。増加はしたものの、23年上期の5.5%増からは鈍化。上海で過ごす記者からすると、5%増という数字は実感より高い気がする。
同日発表された消費品小売額は顕著に消費鈍化が表れている。特に興味深いのが、小売総額に占めるネット販売比率が23年に比べて下がっていることだ。23年は27.6%で、「いよいよ3割超えか」と思わされるほどネット購入への傾倒を感じた。しかしこの24年上期は25.3%と2ポイント超も下がった。
コロナ禍が落ち着いて人々の外出が増え、偶然の出合いや高揚による商品購入が増えているのか。はたまた、利益重視による値引き減が一因か。街行く多くの人々がスマートフォンを凝視して歩いているのを見ると、それ以外に理由があるように思える。
そんな疑問を人に振ってみたところ「何となくだが、自動販売機化していて面白くない」との指摘があった。ウェブサイトで次々出てくるお薦めの商品。この商品をなぜ薦めるか、なぜ用意したのかという「人の意思」が見えないとの見方は納得がいく。
7月に入って大手ECアリババの創業者が、中国・杭州の本社に現れたことがニュースになった。現場に「意思」や「情熱」を注入する意図もあるのかと勝手な想像がふくらんだ。