愛用していたスニーカーが加水分解を起こした。中底に使われるポリウレタンは水分に反応して劣化するため、定期的に汚れを落として、着用頻度を減らしても、3~7年程度でソールは剥離(はくり)する。
履けなくなったスニーカーを眺めて残念に思うのは、大切にしていたこともあってアッパー部分はまだ十分に使えるコンディションであることだ。自動車で言えばパンクした状態なのだが、スニーカーのソールはタイヤのように簡単には交換できない。
修理に応じてくれるブランドもあるが、生産中止のモデルはソールの在庫が尽きればそれで受付終了だ。伝統的な製法の革靴やワークブーツが基本的に何度でも修理できるのと比べるともったいない気がする。
大切なスニーカーを長く履きたい人は多いらしく、最近はいろんなブランドのソール交換を請け負う業者も増えている。しかし、純正とは違う部材を使うため、仕上がりはオリジナルと違う見た目になる。
使用済みのスニーカーをリサイクルする動きもあるが、大量に回収して分解するより、壊れたソールだけ交換するほうが使うエネルギーは少なくて済むはずだ。それに、愛着のある一足を履き続けるためのリペアサービスを充実することは、サステイナビリティーへの貢献にとどまらない。ブランド価値を高める上でも、これからもっと大事になるだろう。