日本百貨店協会が発表した全国百貨店の23年1~12月売上高は、前年比9.2%増の5兆4211億円となり、3年連続のプラスだった。コロナ禍前の19年に比べると3%減で、回復基調がより鮮明となった。売上高構成比の27%を占める衣料品が10%増で、婦人服が13%、紳士服が8%の伸びだった。
大都市の復調が先行しており、大阪、福岡が17%増、京都が15%増、札幌が12%増で、東京、名古屋、神戸も2ケタ増だった。けん引役はインバウンド(訪日外国人)需要で、免税売り上げは3倍の3484億円となった。19年の3461億円を上回り、過去最高を記録した。
引き続き、ラグジュアリーブランドなど高額品の売れ行きが良い。美術・宝飾・貴金属の伸びは22年度に23%、23年度に9%と、増加傾向が継続している。高額品が堅調なのは海外旅行ができないため海外で消費されていた分が国内に回ったことや、外出自粛で一時的に抑制されてきた反動の表れとはいえ増勢が続く。
インバウンドはコロナ禍前と違って、急速な円安が追い風となり、ラグジュアリーブランドや宝飾品、時計など高額品が増えた。中国以外の訪日客の免税売り上げ構成比が高まり、韓国、香港、台湾のほか、東南アジア、米国の購入客が増えた。客数の戻りが足踏みしているだけに、一層の客単価の上昇が焦点になる。