地方百貨店同士の協業が広がっている。22年秋から丸広百貨店(埼玉県川越市)と藤崎(仙台)の間で始まった地元産品の期間限定店の相互出店。今秋からは天満屋(岡山)と丸広百貨店、福屋(広島)と丸広百貨店でも実施する。他の地方百貨店も賛同しており、さらに相互出店は広がりそうだ。
近鉄百貨店が運営事務局を担い、21年秋に百貨店6社で開始した地元産品のECサイトをリンクする協同ランディングページ「全国ご当地おすすめ名産品」も同様。川徳(盛岡)、遠鉄百貨店(浜松)、井筒屋(北九州)、デパートリウボウ(那覇)などが加わり、現在13社に広がった。
前提には、地方百貨店が地元とのつながりを深めていることがある。地元産品を集積した直営店を開設したり、自社ECでの販売を拡大したりする百貨店が増えた。これらは、いわば「地産地消」の取り組みだが、わざわざ出向かないと手に入れられない商品が百貨店で買える利便性から地元客に支持されていると聞く。
相互出店や協同ランディングページは「地産外商」の取り組みだ。外商が成果を上げれば、本来の狙いである地域経済活性化への貢献度は高まっていく。地元産品の発掘がさらに進むことで、直営店やECの品揃えの幅も広がる。そんな好循環を生み出す協業に発展することを期待したい。