《めてみみ》未来の就活服とは

2023/08/18 06:24 更新


 就職活動用スーツは紳士服専門店にとって大切なオケージョン需要の一つだ。男女問わず若い新規客を獲得するチャンスでもある。だが、学生側から見るとどうだろうか。多様性が重視される現在、画一的な服装が長く続くことに疑問の声が出ているのも事実だ。

 こうした状況を踏まえ、青山商事は実践女子大学と連携し、「就活時の服装の未来」をテーマに前期の授業(7回)を実施した。これは、同社の共創コミュニティー「シン・シゴト服ラボ」が進める「#きがえよう就活」プロジェクトの一環。学生ならではの視点で、就活生が抱える服装の悩みを解決する新たな商品やサービスを考案してもらうのが目的だ。

 担当した人間社会学部人間社会学科の広井多鶴子教授は、「以前から就活時の服装が、黒のスーツに画一化されていることに違和感」があったという。今回の授業を通し、〝社会はもっと多様で懐が深いこと〟〝自由に考える大切さ〟を「学生に実感してもらいたい」と話した。

 最終報告会では「服装自由をもっと自由に」「就活に彩りを」などをテーマに各チームが研究成果を発表した。こうした取り組みはスーツ需要にとってはマイナスに作用するかもしれない。それでも学生の悩みに真摯(しんし)に向き合う同社の姿勢に共感する。きっと未来の就活服を一緒に作り出せるだろう。



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