夏本番。体調管理が難しい季節だ。スタミナ回復に抜群のウナギをアピールする売り場を目にするようになった。今年の夏の土用の丑(うし)の日は7月30日。土用の丑にウナギを食べて元気になる。そんな宣伝が始まったのは江戸時代。今ではすっかり日本の風習として根付いた。
これ以外にも、日本には健康を願った行事食がある。新年の七草がゆ、節分の福豆、ひな祭りのちらし寿司(ずし)、冬至のかぼちゃ、大晦日(みそか)の年越しそば。科学的に理にかなっているものもあれば、迷信とも思えるものまで。いずれも季節に合わせた、健康と食事の考え方から生まれたものだ。
テック系と呼ばれる服を近頃よく耳にする。いわゆる機能を軸にしたデザインを特徴とする服で、スポーツブランドなどがライフスタイル寄りの商品を開発するようになって、市場が広がってきた。今ではテック系ブランドを軸とした市場は、ファッションデザインを背景にする市場とは異なる領域で存在している。
いわば、健康や快適性を求める需要に応える服。「夏に最も涼しくて、なおかつだらしなく見えない素材」と先日の展示会でも説明された。テック系ブランドは海外の展示会でも独自の販路を開拓していると聞く。ファッションデザインだけではない、日本人の季節と健康への細やかなこだわりが独自の市場を広げている。