政府は外国人技能実習制度で、実習生の在留期間に上限がなく、家族も帯同できる「特定技能2号」の対象業種を拡大する案を閣議決定した。
労働力不足の深刻化が背景だ。政府は実習制度を「発展的に解消し、人材確保と人材育成を目的とした新たな制度を創設する」方針。今回の対象拡大は新制度を「特定技能の対象分野で外国人がキャリアアップしつつ、日本で得た技能をさらに生かせる制度にする」ことを踏まえたものだ。
新たに特定2号の対象となるのは全て、現行の特定1号の対象業種。産業機械は含まれるものの、繊維は対象にならなかった。労働力不足が深刻な産地企業などからの声を踏まえ、日本繊維産業連盟(繊産連)は実習生の在留期間が最長5年になる特定1号への繊維の追加を政府に要望していた。
政府が繊維を特定技能に加えていない理由は、実習生に対する残業代不払いなどの法令違反が多いためだ。経済産業省と繊産連などは協議会で議論し、繊産連は昨年7月に実習生向けを含めた人権対策ガイドラインを作るなど対応を強化している。
しかし、業界団体に加盟していない事業者には対策が十分に浸透しておらず法令違反も多いのが実情。この大きな課題に対し、業界団体も加盟企業以外に目を配り、行政と連携していく必要がありそうだ。