《めてみみ》農家を増やす

2023/05/25 06:24 更新


 「綿の栽培に農薬はいらない」。スタイレム瀧定大阪は2年前からインドでオーガニックコットン(OC)を種や畑から管理するプロジェクトに取り組んでいる。履歴管理を徹底して栽培農家を増やし、「国際的に需要が強い」OCの扱いを増やす試み。

 綿花全体に占めるOCの比率は1%以下とされる。供給が少ないのは、遺伝子組み換えでない種を使い、化学肥料を3年以上使っていない畑で栽培し、枯葉剤を使わずに収穫するなど、認定のハードルが高いためだ。

 綿花農家が有機栽培に切り替えてもOCと認められるには3年かかる。スタイレムは「この移行期間(インコンバージョン、IC)問題を解決しない限りOCは増えない」としてIC期間も収穫した綿を買い取り、農家を増やしてきた。

 このOCへの転換過程でわかったのは「思ったほど収穫量や品質が落ちないこと。インドのような小規模農家では綿の栽培に農薬や化学肥料は必要ない」と担当者。「OCに携わることは農家の人の健康や人権を守るということ」と同プロジェクトをさらに進める。

 パタゴニアなどはICコットンもOCと同様に採用し、販売する。農薬や化学肥料を使わないICコットンも買い取り、販売する。こうした積み重ねがOCの普及や、ひいては持続可能で人権を守ることにつながっていく。



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