《めてみみ》小さなオケージョン

2023/02/22 06:24 更新


 キャリーバッグを引いて歩く人々の姿が、日を追うごとに増えている気がする。インバウンド(訪日外国人)客だけではない。割引率は縮小したとはいえ、全国旅行支援が続いているからだろうか。卒業旅行とおぼしき学生も多い。

 旅行は幾つもの消費を喚起する。服や小物など新しく買って準備する物があるだろうし、旅先でのモノ・コト消費は日常時よりも活発になる。土産も購入するから、大抵は行きよりも帰りの方がバッグは重い。交通費や宿泊費などの〝直接費用〟をそれ以外の消費額が上回ってしまうこともあるはずだ。

 入卒園や就職といったオケージョン需要の対応商品が1月からすでに動き出している。実需型消費が主流だとすれば、これからが本番になる。オケージョンは「特別な行事、儀式、機会」の意。結婚式など冠婚葬祭が分かりやすいが、先の旅行やクリスマスも当事者にとっては立派なオケージョンになるだろう。

 ルクア大阪などを運営するJR西日本SC開発の橋本修男社長が掲げる「小さなオケージョンの創出」が興味深い。一般的な行事活用の販促に加えて、自ら来館機会や消費機会を作り出していこうと社内外に呼びかけている。嗜好(しこう)の多様化によって、セールなどかつてのような〝大きな山〟が見込めないなら、〝小さな山〟を幾つも築くことが求められる。



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