改装計画や春の新規導入テナントを発表するSCや百貨店が増えてきた。減退していた出店意欲が徐々に戻ってきている表れだろうか。コロナ禍前の売上高を上回る商業施設が出始めたことも、改めてリアルの力を見直すきっかけなのかもしれない。
公表された都心SCの新規導入テナントをみると、ファッションや雑貨、食物販など幅広いものの、飲食強化の傾向がうかがえる。コロナ禍で大打撃を受けたのが外食。今も元の利用客数には戻っていないとされる。それでも、〝EC〟では代替できないリアルの価値に欠かせない重要なコンテンツということだ。
一方で、あるSCで聞いたのは「イベントスペースへの出店問い合わせは多いが、正規出店となるとなかなか決まらない」話。結果、複数の物販空き区画を比較的長期の催事契約店舗でしのいでいる。むしろ、こうしたSCの方が多い。催事出店者は、リアル店舗の価値は認めていても、出店先をより厳選する傾向だからだ。
売り上げや客数、客層を見るテストマーケティングはもちろん、営業時間、休業日、休憩室など従業員向けサービスの充実など、働きやすい環境整備もチェックしている。スタッフ不足が常態化するようでは思う成果は出せない。運営が持続可能な施設かどうか。正式出店を決める大事なポイントかもしれない。