今回私がテーマに選んだのは「私の大義」についてである。それは心から愛する〝衣服〟や〝ファッション〟を通じて、この美しくもはかない地球を未来の世代へ受け継いでいくという使命だ。
言い換えれば、「美」と「表現」と「継承」の間に立ち、ファッションという手段で世界を少しでも良い方向へ導きたいという思いである。この信念は幼少期から衣服に心を奪われ雑誌をむさぼるように読み、初めて自分が選んだ服に袖を通したときの感動、そして様々な経験を通じて形作られた。
ファッションは単なる流行ではなく、衣服はただの布ではない。それは人類の営みと共に生まれ、文化と文明の歩みに寄り添って進化してきた創造と知の結晶である。
衣服は言葉を超えて私たちの存在や価値観を社会や世界に語りかける。「私は誰か」「何を信じているのか」――そのすべてを静かに、しかし雄弁に伝えてくれる。
衣服には人の心を動かし、価値観を揺さぶり、未来を変える力がある。だから私はこの世界に身を置き、今もなおその情熱は高まり続けている。
私の原点には「誰もが自由に自己を表現できる未来を築きたい」というまっすぐな願いがある。そんな理想は夢物語ではないと信じていた。いや、信じたかったのかもしれない。
しかし、現実はそう甘くないことをこの後私は痛感することになる。
（福助代表取締役社長 坂本友哉）
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。
