新潮新書の『リキッド消費とは何か』(久保田進彦著)は、サブスクリプション(定額課金)やレンタルを含めた新たな消費の特徴を提示している。一つが、時々で欲しい物が変わるという「短命性」だ。〝フリマアプリ〟の広がりはその象徴だろう。二つ目がレンタルやシェアリングを選ぶ「アクセス・ベース」、三つ目が経験を大切にする「脱物質」だ。
確かに音楽、映画、服やバッグ、飲食など様々な分野でサブスクのサービスが広がっている。今年2月に10周年を迎えた「エアクローゼット」。それを記念した特設サイトやファクトブックをみると、24年7~9月期の月額会員数は3万8000人弱で、5年前から2.2倍強増えている。利用客1人で1975着をレンタルした人もいるそうだ。
主にレンタカーを示す「わ」ナンバーもよく見かけるようになった。沖縄などの観光地では「わ」だけでは足りなくなり「れ」ナンバーもあるという。いずれにしても、所有より利用を選択する消費者があらゆる場面で着実に増えている。
モノからコトへと言われて久しいが、若い世代ほどその傾向がより強まっているようだ。所有欲が薄く、価値を感じるポイントも短期間で変わる。所有だけではない選択肢を用意するなど、消費の仕方の変化に柔軟であることが、新たなビジネスを生むはずだ。