《視点》災害支援

2025/10/29 06:23 更新NEW!


 先日、あるアウトドア用品メーカーが自治体と災害協定を締結した。メーカーの社長は災害支援の思いの源は阪神・淡路大震災にあると語った。災害を目の当たりにしたことの衝撃とともに、被災者が自社製品を使って生活をしのぐ様子に、自分たちのしてきたことが社会貢献になると認識したという。同社は以降、積極的に多くの自治体と同様の協定を結んでいる。

 多くのスポーツ・アウトドアメーカーは、テントや寝袋などの物資提供を通じて、避難生活の質を高めてきた。こうした支援はCSR(企業の社会的責任)の一環として評価されるが、課題も多い。物資の使い方、サイズが合わない、支援が一時的に終わるなど、現場とのギャップも存在する。今回のメーカーは、被災地での避難所の課題やアウトドアで培われた知見をもとに、防災訓練への協力も含め地域の安全・安心に貢献する考えだ。

 災害が多発するこの国の企業の災害対応は、質と持続性が問われる。それぞれの企業の強みを生かし、単なる物資提供にとどまらない「心に届く支援」が増えることを心から願う。

(樹)



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