《視点》均一化する美

2025/12/18 06:23 更新NEW!


 今年はガールズグループ、HANAの活躍が印象的だった。オーディション時から楽曲まで一貫して「ありのままの自分を愛そう」と訴える。HANAに限らず、最近のアイドル音楽や美容系広告にもその潮流は広がり、自己肯定を促すメッセージがあふれる。

 一方、SNSの世界は違う。加工エフェクトや美容医療によって似たような顔が並ぶ。ジャーナリストのエリース・ヒュー氏は美容大国韓国の滞在レポート『美人までの階段1000段あってもう潰れそうだけどこのシートマスクを信じてる』(新潮社)で、人種を超えて分厚い唇や高い鼻など同じ特徴が理想化され、世界共通の美が固まりつつあると指摘する。

 AI(人工知能)モデルの登場がその傾向を加速しかねない。効率化の名のもとに登場したAIのビジュアルはどれも似通い、企業が抱く美の基準を可視化している。ファッション業界でも導入が進んでいるが、同じような美を量産しかねない危うさを感じる。

 多様性をうたいながら均一化へと向かう社会。AIが作る美が人の価値観を狭めることのないよう企業の姿勢が問われている。

(金)



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