昨年末、日本政府とバングラデシュは経済連携協定(EPA)の大筋合意に至った。バングラデシュは経済成長などを理由に今年11月、後発開発途上国(LDC)から卒業する。そうなるとこれまで認められていた無税・無枠の特別特恵関税が使えなくなり関税がかかる。しかし今回の2国間EPAの大筋合意により、繊維分野でも引き続き無税が維持される見通しだ。
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バングラデシュは中国に次ぐ、世界2位のアパレル輸出国。同国からの衣類輸入はこの10年で倍増し、調達国として欠かせない存在になった。そのため今回の合意は大きな意味を持つ。
近年、アパレル調達国のカントリーリスクが増している。バングラデシュでは24年7、8月の反政府運動でアワミ連盟(AL)による長期政権が倒れ、暫定政権が発足した。それから1年半。2月12日には総選挙が行われる。
ALはデモ鎮圧時の深刻な人権侵害を理由に活動を禁止され、総選挙には参加できない。そのためALと対立する主要政党のバングラデシュ民族主義党(BNP)が勝つと見られるが、新政権が誕生してもデモなどが頻発する恐れがあり、注視が必要だ。
SDGs(持続可能な開発目標)の16番目は「平和と公正をすべての人に」。政治的安定はサプライチェーンの安定に直結する。平和と公正、不安定な世界情勢の中で欠かせない要素だ。
