広島県の福山デニム産地では近年、これまでとは少し違った形で産地に関わる人が増えてきているように感じています。繊維業界の出身者だけでなく、デザイナーやクリエイター、異業種の企業などが産地に関心を持ち、様々な形で結びつき始めています。
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こうした動きの中で改めて感じるのは、福山産地の価値は個々の企業の技術だけでなく、企業同士の関係性の中で生まれているということです。紡績、染色、織り、整理加工、縫製、洗い加工といった工程が近い距離にあり、それぞれの企業が専門性を持ちながら連携することで、新しい生地や製品が生まれてきました。
最近では、産地内の企業同士が横につながり、新しい取り組みを生み出す動きも広がっています。福山では「デニムのイトグチ」という活動を通じて、企業や人が集まり、産地の技術や背景を発信する機会が生まれています。こうした場は、産地の魅力を外に伝えるだけでなく、新しく産地と関係する人を生み出すきっかけにもなっています。
産地の魅力は、個々の企業の技術だけでなく、人と人、企業と企業のつながりの中で生まれていきます。新しい人たちが産地と結びつき、その関係がさらに広がっていくことで、福山デニム産地の可能性もまた広がっていくのではないかと感じています。
(篠原テキスタイル社長 篠原由起)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。
