【パリ=松井孝予通信員】仏ケリングは、フィレンツェで開催した投資家向けのキャピタルマーケットデーで、ブランド育成の枠組み「ハウス・オブ・ワンダー」の創設と、中国ラグジュアリーブランド「アイシクル」への少数株出資を発表した。既存メゾンの成長投資を最優先としつつ、将来のラグジュアリーを見据えた外部投資を組み合わせる。
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同枠組みは、コア事業に隣接する新興ブランドや新カテゴリー、新地域を対象に、グループの機能を横断的に提供するプラットフォーム。顧客、マーケティング、不動産、製造、サプライチェーン、小売りなどバリューチェーン全体を支援し、成長の時間短縮と実行リスクの低減を狙う。規模拡大そのものは目的とせず、各ブランドが本来の領域で潜在力を最大化することを重視する。
投資は少数株から過半出資まで柔軟に対応し、ベンチャー型投資も視野に入れる。一方で、厳格なリターン基準と資本配分規律を維持し、グループ全体との整合性を確保する方針だ。
アイシクルは97年創業。仏報道によると、年間売上高は3億ユーロ。天然素材を生かした落ち着いた色調やデザインを特徴とする。上海とパリに拠点を持ち、中国国内に約200店、パリにも直営店を持つ。ケリングは今回の出資を通じて、同ブランドの欧米市場での出店加速を支援すると同時に、中国における製造や物流、サプライチェーンの知見を取り込み、相互補完を図りながらグループ全体の競争力向上につなげる考えだ。
中国では近年、欧州ブランド中心だったラグジュアリー消費が、文化的背景や美意識を重視したローカルブランドへと広がりつつある。アイシクルはその代表例の一つとされる。