《めてみみ》データから浮かぶ買い控え

2025/10/28 06:24 更新NEW!


 総務省の家計調査報告によると、24年の2人以上世帯の家計消費支出は1カ月当たり30万243円だった。前年比2.1%増で、コロナ前の19年比でも2.3%増。4年連続で増加し、19年ぶりに30万円を超えた。

【関連記事】【FBプロフェッショナルへの道2025①】衣料消費市場編 日本のアパレル市場規模を知ろう

 支出総額の3割を占める「食料」は前年比3.9%増、19年比で11.8%増。1割弱を占める「住居」「家具・家事用品」の合計も前年比1.6%増、19年比7.1%増。実質賃金が上がらない中、生活者は限られた可処分所得を、物価上昇がより顕著な項目に割り当てていることがうかがえる。

 服も値上がりした。繊研新聞社の推定では24年の服1枚当たりの平均価格は2755円。前年比4.3%、19年比では13.5%上昇した。円安や原燃料価格の高騰などによる生産コストの上昇を、価格に転嫁する動きが進む。

 ところが家計調査報告で、ファッションに使うお金に相当する「被服及び履物」への支出を見ると、24年は9985円。前年比では3.5%増だったが、19年比では11.7%減と2ケタ減。コロナ前と比べて値上がりした服を、生活者は買い控えているのが見て取れる。

 衣食住のうち、「衣」は数シーズン買い足さなくても困らないということなのだろうか。インフレで見た目の可処分所得が増えても、物価変動を考慮した実質の可処分所得がさらに増えない限り、新しい服が売れにくい状況は続く。



この記事に関連する記事