最近は「カプセルワードローブ」というらしい。自分に必要な服を決めて所有する枚数を絞り、シーンに合わせて組み合わせて着ることで、仕事もプライベートもそれだけで済ませる。だから毎シーズン、新しい服も買い足さずに済む、みたいなことだ。
こういう考え方は周期的に出てくる。何年か前にも『フランス人は10着しか服を持たない』という本が流行し、そのタイトルがクローゼットに服があふれる人々のミニマルなワードローブへの憧憬(しょうけい)を駆り立てたことがあった。
ただ、今回のブームは世界中で廃棄される服の量が毎年すごいことになっているとか、1シーズンで着なくなる服って果たして正しいのかなど、サステイナビリティー(持続可能性)に関する意識の高まりが後押ししている面がある。
英国の「ラパヌイ」というサステイナブルなファッションのブランドが、同国の成人の平均寿命と服の耐用年数で計算した、大人の一生に必要な服の数は149枚。実際に人が一生に買う服の数の2割程度だ。
試算上、買った服の8割は使い切らずに捨てられることになる。個人は捨てれば済むが、地球規模で考えると、膨大な服のごみをどうやって処理するかが大問題。不要な服を後から断捨離するのではなく、最初から必要な服しか買わない。そんな生き方が求められる時代だ。