《めてみみ》手を入れて長く使う

2021/12/06 06:24 更新


 今年もあと1カ月弱。振り返ると、SDGs(持続可能な開発目標)という言葉が一般生活者まで浸透し始めた年だったのではないか。ファッション業界でも引き続きサステイナブル(持続可能な)というキーワードを抜きには語れない状況だ。

 衣料品の大量生産・大量廃棄にシビアな視線が向けられ、サステイナブルな素材を使った商品開発、循環型社会を目指した取り組みが相次いでいる。個人的には「良いモノを手入れしながら長く大切に使う」ことが究極のサステイナブルだと思っている。

 シューケア用品、アールアンドデーの静孝一郎社長は「本業の靴磨きやメンテナンス、修理・リペアが循環型社会には欠かせないものとして、今改めて注目されている」という。まだまだマニアックな世界の話だが、数年前から続く靴磨き職人ブームも象徴的だ。同時に、メンテナンスのノウハウを共有するため、小売店のスタッフとの勉強会も重視している。

 静社長が発起人となり、18年9月には「日本皮革製品メンテナンス協会」を設立した。「食肉の副産物である牛や豚の皮が、再生され革製品として新たな価値を生む循環は地球環境にも人にも優しいことだ」との思いが強い。同協会の活動を通じて、もっと革の魅力を知ってもらい、本物の革の良さを見直すきっかけになってほしい。



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