《めてみみ》客が欲しいと思う服

2021/10/12 06:24 更新


 ビームスジャパンの鈴木竹彦ディレクターに聞いた話が面白かった。商品を問わず、日本の銘品をセレクトして売る業態で、鈴木さんはここでメイド・イン・ジャパンの服のディレクションをしている。

 怪獣映画をモチーフに架空の生き物を刺繍したスカジャン、わざと開けた穴をもう一度補修したダメージジーンズ、ポケットの数を増やして使い勝手を良くしたジャケットなどオリジナルの状態で人気のブランドにさらに独自のひねりを加えて別注を作る。

 ビームスジャパンは雑貨から食品まで扱い商品は幅広く、店舗も新宿と渋谷、京都に三つだけ。当然、服ばかり大量に仕入れることはできないので、多く売るより余さずに売り切ることが求められる。

 だからメーカーやブランドと粘り強く交渉を重ね、色や柄だけでなく仕様や意匠まで細かくいじって「100人のうち数人でもコレ面白い、と思ってくれる服」を目指す。凝った作りの分、仕入れ量をあまり多くできないが、他では買えない商品に仕上がるので、その場で購入を見送れば、次来た時には売り切れている確率が高い。

 結果、客は目当ての服を見つけたら即買いするので、様子見やセール待ちで売れ残って、値引き販売になることも減る。客が欲しいと思う服を作るのが何よりサステイナブル(持続可能)であることの好例と思う。



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