合繊メーカーが意欲的な環境目標に取り組んでいる。旭化成や帝人、東洋紡などは2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにし、地球温暖化の防止や脱炭素社会の実現を目指す。
日本政府は昨年10月、50年までに国内でカーボンニュートラルを実現する目標を掲げた。1月段階で日本を含む120以上の国や地域が、50年までのカーボンニュートラル実現を目指し、中国も60年までの実現を掲げる。
鍵を握るとされるのが、次世代のエネルギーと期待のかかる水素。水素は熱エネルギーとして利用でき、そのエネルギー効率は高く、二酸化炭素が発生しない。しかし、製造コストが高く、大量の供給をどう実現するかなど課題は多い。この水素問題が解決できるか否かで、「カーボンニュートラルが実現できるかが左右される」と言われるほどだ。
合繊企業はチャンスと捉える。東レは独シーメンス・エナジーAGとグリーン水素製造に関する「戦略的パートナーシップの構築」の基本合意書を締結、拡大が見込まれる世界市場を狙う。旭化成は電気分解の知見を生かし、福島で稼働を始めた世界最大規模の水電解システムによるグリーン水素の供給実証を進める。地球温暖化を防ぎながら、新たな社会を実現し、市場を生み出す。大きな変化をチャンスと捉えることで攻め手が生まれる。